2018年1月に私は約8日間に渡りミャンマーのコーヒー農園を訪問しました。

単なる生産地訪問でなくあるプロジェクトを背負って渡航しました。
ミャンマーのコーヒー農園
「Farmer’s Pride プロジェクト」

「海の向こうコーヒー」さんと始めたこのプロジェクト。

私たちがミャンマーのユアンガン地区の農家さんの作ったコーヒーチェリーは、

一箇所に運ばれて、チェリーをまとめて精製(コーヒーを生豆にする過程)を行なっていました。

このプロジェクトの概要は、有志の農家さんに、彼ら自身で収穫から生豆ができるまでの精製までお任せして、

誰がどんな風に作ったコーヒーなのかまでわかるマイクロロットを生み出そうというプロジェクトです。

なぜマイクロロットを作るのか

私がこれまで訪問してきたタイなどの小さな農家さんは、

「おいしいコーヒーをつくりたい!」というよりは

生活の安定のために、なるべく沢山のコーヒーチェリーを効率よく作り、それを仲買人に買い取ってもらう感覚でコーヒー作りをしている農家さんが多くいました。

完熟している豆以外も入っていたりします。

熟度が揃っていないチェリー
熟度がそろっていないチェリー

 

それが決して悪いというわけではなく、農家さんの生活のため、生きていくための仕組みであることを理解しなけばなりません。

スペシャルティコーヒーを当店では専門に扱っていますが、その地域の仕組みを理解しないまま農家さんとトレードすることは生産地にとっても「良いことなのか」考えながら良好な関係を気づいていかなければいけません。

そして品質が安定するように責任をもって継続的に取引することです。去年は買ったけど、今年はよかったからだめ、他を探そう。では何の支援にもなりません。品質が維持できなかったときも私たちができることを探しながら、品質向上のために継続的に農家さんと向き合うことを大切にしたいと思っています。

おいしいコーヒー作りのために、まず農家さんに【どうすれば美味しくなるか】農家さん自身でイメージをしてもらい意識の向上を図ることが必要です。

農家さんの個性を美味しさに変える

このプロジェクトではこだわってコーヒーを作っているのにまだスポットが当たっていない農家さん達と出会い、そのコーヒーを新たなマイクロロット(小さい単位の商品化)して日本に届けることを目的にしています。今回は農家さんには収穫だけでなく味作りに関わってもらう幅を増やし、ナチュラル精製(今回はコーヒーチェリーを収穫して乾燥させるまで)をお願いしました。もちろん品質に大きく関わる精製を、農家さんが行うことによってうまれるリスクもあるのですが、農家さんが上手に精製すればより個性的な風味が明確に生まれます。そして今まで農協や加工所に委託していた精製を自分たちでできるようになることで、農家さんの収入は増えます。

その農家さんの情熱あふれるコーヒーをより良いものへ引き上げ、日本になるべくたくさん持ち帰りたいと考えました。そのためには美味しいコーヒーである必要があります。熟度、収穫の時期、管理、品質にこだわり、一緒の目線でコーヒーを作ってくれる農家さんと出会うために、何日もかけて農家さんのお宅やコーヒー農園を訪れました。

そんな中出会った農家さんが「ドープシュエ」すごく親近感を感じる人の良さそうな女性農家さん。彼女の農園はとても綺麗で、チェリーも美しい。

いまでも毎年彼女の畑を見ると涙が出そうになります。丁寧に間引きされた綺麗な農園、そして宝石のような輝きの圧倒的な糖度のコーヒーチェリー。

コーヒー作りで苦労していることは何ですか?とドープシュエに聞くと

・ドープシュエ「沢山あるけど、いま一番心配なのは人件費。美味しい完熟チェリーを摘むためには多くの人件費がかかる。でも美味しいコーヒーをたくさん届けたいからね」

彼女のその味へのこだわりの言葉を聞いて味を見る前に「この人のコーヒーは美味しい」そう確信しました。チェリーを糖度計で測ると、やっぱり。糖度が30度。他のチェリーを図っても28度。見たことない糖度に故障かと思ったけど、本当に彼女が作るコーヒーは素晴らしい。とんでもなく甘くジューシーで美味しい。

糖度30度のコーヒー

かくして第一回目のミャンマーの渡航と農家さん探しの旅は素晴らしい農家ドープシュエと出会い、コーヒーを継続的に取り扱いさせてもらうことになりました。

スペシャルティコーヒー=誰がどんな風に作ったか明確にわかるコーヒー〇〇農園 エリア〇〇 これだけの情報をただ紙に記載するだけでは、誰がどんな風に作ったかまで明確にはわからないと思っています。

農家さんの顔も。チェリーの摘み方も、その想いも背景も。私たちは美味しさと一緒に伝えていきたい。私たちが伝えていかないと、この先も全然わからないままかもしれない。

「あ、この農家さんのおいしいよね」と野菜や果物みたいに、コーヒー生産者の努力が美味しさや価値に変わって、沢山の人に届く瞬間を見てみたい。

扱う全ての農家さんの訪問は難しいけれど少しづつ。

そしてこのマイクロロット作りのプロジェクトをどんどん大きなものにして、世界のコーヒー農家さんの意識向上、品質向上につなげていきたいと考えています。ドープシュエのコーヒー一度ぜひ飲んでみてくださいね。本当にグレープフルーツのように甘くて綺麗な味がします。

Profile

タビノネオーナー焙煎士 北辺 佑智 1991年生まれ 滋賀県出身
2017年珈琲焙煎所旅の音、2019年MAMEBACOをオープン。 焙煎士としてタビノネ の全てのコーヒーを焼いている。 生産地に通い、よりよい一杯を届けるために各地で活動中。 美味しいコーヒーは人を幸せにすると本気で思っている人。